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文献概要
目でみる症例―検査結果から病態診断へ・35
糖尿病患者に伴った上顎洞ムコール症
著者: 岩信造1 片山善章2
所属機関: 1国立明石病院研究検査科 2国立循環器病センター臨床検査部
ページ範囲:P.1331 - P.1333
文献購入ページに移動図1は患者の入院時に悪臭を伴った鼻腔の黒色の痂皮から綿棒で擦過し,グラム染色を行ったものである.多数の細菌を背景に一直線上に延びた菌糸から直角に分枝した菌糸を認める.また,図2は同時にパパニコロウ染色を行ったものである.壊死背景の中に多数の多核白血球および細菌が出現し,核線も見られる.その中にリボン状で,菌糸の幅は5μmから15μmまであり,菲薄で,オレンジGあるいはエオジンの色素に染まる部分とこれらの色素に染まらない部分も見られる.また,幅の広い無隔性の菌糸に対し,直角状の分枝が認められる.
入院時の真菌培義の検査では白色でクモの巣状の外観を呈するコロニーを認め,コットン青染色を行うと幅広い無隔性の菌糸に仮根が認められた.その部位から単枝状の胞子嚢子板が伸び,先端に球形で柱軸を持つ胞子裏の形成がみられ,Mucor Rhizopusを分離同定し得た(図3).
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