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座談会 PartⅡ・3
遺伝子検査
著者: 引地一昌1 高橋正宜2 島田馨3 河合忠4
所属機関: 1(株)エスアールエル遺伝子部 2(株)エスアールエル研究所・八王子ラボラトリー 3社会保険中央総合病院 4自治医科大学臨床病理学
ページ範囲:P.217 - P.220
文献購入ページに移動河合 今回の座談会も終わりに近づきました.前回お話しした発癌と遺伝子の関係について,もう少し掘り下げてみようと思います.まず癌関連遺伝子には,昔はプロトオンコジーン,癌原遺伝子と言われていた癌遺伝子と,癌抑制遺伝子(anti-oncogene=tumor suppressorgenes)の2つがあると言われています.引地先生,この2つの癌関連遺伝子の特徴を簡単に解説してください.
引地 癌遺伝子そのものは正常の細胞にもあって,その機能としては分化発生の段階から細胞を増やすための何らかの役割をしているわけです.ところが最近わかってきた癌抑制遺伝子というのは,その癌遺伝子を調整している遺伝子である.つまり癌遺伝子が細胞を増やす方向に働く遺伝子だとすると,細胞増殖を抑えるための調節遺伝子であり,この癌抑制遺伝子に異常があるために,抑えきれなくなって癌遺伝子が活性化し発癌する,という状態です.
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