文献詳細
文献概要
コーヒーブレイク
菊作り
著者: 屋形稔1
所属機関: 1東新潟病院
ページ範囲:P.456 - P.456
文献購入ページに移動 最近,旧制高校の恩師故N先生の長男で,読売新聞の論説委員をしているA君の「コラムニストの目」という講演を聴く機会を持った.現在連載している夕刊の読売寸評を1,000回以上も続けた経験からくる教育談議で,小学校の腕白小僧だった者を知る人間として感慨深いものがあった.
話は終生教師生活をされた父君の思い出から始まった.菊作りと魚釣りが趣味であったということで,そういえば晩年お住まいの庭に菊をはじめ種々の花卉が一見乱雑に植えられていたのを思い出した.A君は,父君が特に見ごたえのある菊を作ろうという努力でなく,もっぱら水をやることが趣味であるのを感得したという.時期が来れば花は開くという教育のこころみたいなものを知らず知らず教えられ,子供の教育ものびのびとさせるべきもので過剰な手をかけすぎ,教育のための教育の横行する現状に批判をこめた論旨であった.
話は終生教師生活をされた父君の思い出から始まった.菊作りと魚釣りが趣味であったということで,そういえば晩年お住まいの庭に菊をはじめ種々の花卉が一見乱雑に植えられていたのを思い出した.A君は,父君が特に見ごたえのある菊を作ろうという努力でなく,もっぱら水をやることが趣味であるのを感得したという.時期が来れば花は開くという教育のこころみたいなものを知らず知らず教えられ,子供の教育ものびのびとさせるべきもので過剰な手をかけすぎ,教育のための教育の横行する現状に批判をこめた論旨であった.
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