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目でみる症例―検査結果から病態診断へ・28
GC/MSによる有機酸代謝異常の診断―プロピオン酸血症とマルチプルカルボキシラーゼ欠損症の鑑別診断
著者: 山口清次1 木村正彦1
所属機関: 1島根医科大学小児科
ページ範囲:P.469 - P.472
文献購入ページに移動図1―Aは尿中有機酸のガスクロマトグラムである.尿中有機酸は0.2mgクレアチニン相当の尿に内部標準(マルガリン酸,テトラコサンそれぞれ20μg)を加え,酢酸エチルとジエチルエーテルで溶媒抽出し,オキシムTMS誘導体化して分析したものである.DB-5キャピラリーカラム(0.25mmφ×30m×30m,膜厚1μm)を用い,GC/MSは島津製QP5000で分析した.温度条件は100℃4分間保持後,4℃/分で280℃まで昇温分析を行った.
図1―Aのa)が症例1のプロピオン酸血症(PA),b)が症例2のマルチプルカルボキシラーゼ欠損症(MCD),c)が正常コントロール(乳児)である.症例1では
印で示したように,3―OH―プロピオン酸(3HP),プロピオニルグリシン(PG),メチルクエン酸(MC)の異常増加が認められる.それぞれのピークは図1―Bに示すようなマススペクトルによって同定確認されている.3HP,PG,MCはプロピオニル―CoA由来の代謝産物であり,症例1はプロピオニル―CoAの蓄積所見からプロピオニルーCoAカルボキシラーゼ欠損症,すなわち,PAと化学診断された.
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