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文献詳細

雑誌文献

臨床検査39巻5号

1995年05月発行

文献概要

トピックス

結合型PSAと遊離型PSA

著者: 塚田敏彦1

所属機関: 1虎の門病院臨床化学検査部

ページ範囲:P.592 - P.594

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1.はじめに
 PSA (prostate specific antigen;前立腺特異抗原)は前立腺上皮細胞から分泌される33kDaのセリンプロテアーゼで,精液中に多量に含まれ,射精直後の凝塊を融解させる働きを持つ.血清PSAは,前立腺癌(PCa)の唯一の早期診断マーカーとして広く測定されているが,癌特異抗原ではないので良性前立腺肥大症(BPH)でも高値を示すため,偽陽性やカットオフ値が問題となっている.
 そこで近年,PSAの血中存在様式と疾患との研究が注目されている.つまり,血清中ではPSAの大部分はセリンプロテアーゼインヒビターとイオン結合して複合体として存在する.主にα2-マクログロブリン(α2M),α1「アンチキモトリプシン(ACT)との結合型(complex)および遊離型(free)の3種で,その他少量だがα1-インタープロテアーゼインヒビターとも複合体を形成している.そのうち臨床上重要なものは免疫活性を有し,市販PSA測定キットで測定可能な約100kDaのACT-PSA結合型(complex PSA)と遊離型PSA (free PSA)である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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