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文献詳細

雑誌文献

臨床検査39巻7号

1995年07月発行

文献概要

今月の表紙 臨床細菌検査

Bordetella pertussis

著者: 猪狩淳1

所属機関: 1順天堂大学医学部臨床病理学教室

ページ範囲:P.742 - P.743

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 Bordetella属には,現在4菌種―B. pertussis,B. parapertusss,B. bronchiseptica,B. Avium―が知られている.このうち,B. pertussisとB. parapertus論がヒトの病気を惹起し,とくにB. pertussisが重要である.
 B. pertussisは百日咳(whooping cough,pertussis)の原因菌である.本菌はグラム陰性の小短桿菌で,多形性を示すことがある.莢膜を持つ(病原性の強いI相菌).芽胞,鞭毛はない.培養には特殊な培地でなければ発育せず,ボルデー・ジャング(Bordet-Gengou)培地が用いられる.直径1mrn程度の小ドーム型の真珠様の光沢を持つコロニーが35~37℃,4~5日間の培養で認められ,集落の周囲に溶血がみられる.血液寒天培地,チョコレート寒天培地には発育しない.偏性好気性菌で,代謝は呼吸により,糖類を発酵しない・オキシダーゼ陽性,H2S産生性陰性,インドール陰性,V-P反応陰性,ウレアーゼ陰性,非運動性.発育にはニコチン酸,リジン,メチオニンを必要とする.本菌は以前はHaemophilus属に含まれていたが,血液成分のX(ヘミン)因子やV(NAD)因子を必要としない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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