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retプロトオンコジーンの変異と遺伝性疾患
著者: 高橋雅英1
所属機関: 1名古屋大学病理学第2講座
ページ範囲:P.830 - P.832
文献購入ページに移動 retプロトオンコジーンは,上皮成長因子レセプター(EGFレセプター)やインスリンレセプターなどと類似の受容体型チロンンキナーゼをコードしている1,2).これらは細胞膜貫通型の蛋白であり,細胞表面において特異的な増殖因子と結合することにより,チロシンキナーゼ活性が誘導され,細胞の増殖や分化にかかわっている.したがって,これらの蛋白にアミノ酸変異が生じれば,発現細胞の異常増殖や機能異常により種々の病気が起きることが予想される.retプロトオンコジーンは胎生期に一過性に生じる神経堤細胞由来の腫瘍(神経芽細胞腫,副腎褐色細胞腫,甲状腺髄様癌など)に特異的に発現することが知られており,この2年間にretが複数の遺伝性疾患の原因遺伝子であることが明らかになってきた.
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