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文献詳細

雑誌文献

臨床検査39巻8号

1995年08月発行

文献概要

研究

糖尿病網膜症の重症度と血清アポリポ蛋白

著者: 川村憲弥1 奥住裕二1 森三樹雄1 門屋講司2 小原喜隆2

所属機関: 1濁協医科大学越谷病院臨床検査部 2濁協医科大学越谷病院眼料

ページ範囲:P.973 - P.976

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 糖尿病網膜症の進行と血清アポリポ蛋白の関係を明らかにするため,糖尿病患者を次の4群に分類した.網膜症を有しない(NDR),単純網膜症(SDR),増殖網膜症(PDR),増殖網膜症で硝子体出血を有する(PDR+VH)に分類し,血清アポリポ蛋白(アポ蛋白A-Ⅰ,A-Ⅱ,B,C-Ⅱ,C-Ⅲ,E)を測定し,健常対照者と男性および女性群別に比較した.同時に血清脂質との関連についても検討した.アポ蛋白A-ⅠとA-Ⅱは各群間に差が見られなかったが,アポ蛋白B,C-Ⅱ,C-Ⅲ,EおよびB/A-Ⅰは男性および女性群ともに糖尿病各群で増加し,対照に対して有意に高値を示した.また女性群における各群間の比較ではアポ蛋白B,C-IIともに網膜症が最も進行したPDR+VHで有意の増加を示した.血清脂質(TC,TG)との関連では男性および女性群ともに糖尿病各群で増加し,TGでは対照に対して有意の高値を示した.以上のことから,アポ蛋白と血清脂質は網膜症の発症や進行に関与していると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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