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文献詳細

雑誌文献

臨床検査39巻9号

1995年09月発行

文献概要

今月の主題 人畜共通感染症 巻頭言

人畜共通感染症

著者: 勝部泰次1

所属機関: 1日本大学農獣医学部獣医公衆衛生学

ページ範囲:P.993 - P.995

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 人畜共通感染症とは,自然の状態で,ヒトと脊椎動物の間で双方に伝播の起こる感染病(不顕性感染を含む)を言い,各種の細菌,真菌,リケッチア,クラミジア,ウイルス,原虫,および寄生虫が病原となる.家畜,ペット,あるいは野生動物として存在する各種の脊椎動物(哺乳類,鳥類,爬虫類,両生類,魚類)が病原巣あるいは感染源となり,一部の疾病では無脊椎動物(中間宿主,ベクター)が感染源となる.ヒトと脊椎動物の間の因果関係に粗密はあるが,世界的には約150種の疾病が存在する.わが国で発生するか,外国から侵入する危険性の高いものはその1/3である(表1).
 本症の存在は,炭疽(脾脱疽),ペストなどのように紀元前から知られている.おそらく人類の歴史とともに推移してきたものであろう.また,最近になって発見された新たなヒトの感染病は,野生動物の関与する人畜共通感染症であることが多いことに注目すべきである.わが国は島国であるため,陸地続きの国と異なり,国外からの人畜共通感染症の侵入を受け難いことは事実である.しかしながら,国際間の人的,物的な交流の盛んな現在においては,立地条件の良さだけに頼っているわけにはいかず,"輸入人畜共通感染症"に対する警戒を絶えず払っておかなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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