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文献詳細

雑誌文献

臨床検査39巻9号

1995年09月発行

文献概要

今月の主題 人畜共通感染症 話題

Salmonella enteritidisによる胃腸炎

著者: 工藤泰雄1

所属機関: 1東京都立衛生研究所微生物部

ページ範囲:P.1050 - P.1052

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1.はじめに
 Salmonella enteritidis (ゲルトネル菌,腸炎菌とも呼ぶ)は,サルモネラ食中毒の主要原因菌の1つとして古くからよく知られていた菌である.わが国においても本菌による食中毒は戦前から数多く発生しており,なかでも1936年浜松市で発生した患者数2,201名,死者45名を数えた大福餅による食中毒事件が有名である.本菌食中毒は1960年代はじめごろまではわが国で発生するサルモネラ食中毒の主体を占めていたが,それ以降は世界的な流行株であるネズミチフス菌(Styphimurium)がそれに取って代わり,ほとんど発生がみられなくなった.しかし,1989年に至り,欧米などでその増加が指摘されていた本菌食中毒がわが国でも再び急増する事態となり,その発生動向が改めて注目されている.
 本稿では,本菌食中毒の現況について主としてその発生状況,分離菌の特徴など疫学的な面から概略紹介し参考に供したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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