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文献詳細

雑誌文献

臨床検査39巻9号

1995年09月発行

文献概要

今月の主題 人畜共通感染症 話題

アメリカのハンタウイルス感染症

著者: 森田千春1

所属機関: 1酪農学園大学獣医学科獣医公衆衛生学教室

ページ範囲:P.1053 - P.1055

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1.はじめに
 1993年5月,米国ニューメキシコ州都アリゾナ州のナバポ族のインディアン居留地での新たな呼吸器病の発生は,まさにEmerging infectiousdiseaseと呼ぶに相応しいものであった.この病気の病原体がハンタウイルス(Hanta virus)に属するものであることが明らかとなり,防疫センターから速報が出たのが6月11日のことであり1),これは翌12日のわが国の新聞にも報じられており,読まれた方も多かったと思う.
 ハンタウイルス(属)はブニヤウイルス科に属し,この科の他の属のウイルスが節足動物により媒介されるのに対してこの属のウイルスの媒介に関係する節足動物は現在まで明らかではない.一般には1,2種のネズミを病原巣として直接人間に感染するものと考えられている.病原巣であるネズミに対しては無症状慢性感染であり,一度感染すると長期にわたりウイルスを保有し,排泄すると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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