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Pneumocystis cariniiの抗原変換と遺伝子スイッチ
著者: 和田美紀1 中村義一1
所属機関: 1東京大学医科学研究所癌体質学研究部
ページ範囲:P.1080 - P.1081
文献購入ページに移動 免疫不全状態の宿主,特にエイズ患者において,カリニ肺炎は致死率の高い日和見感染症である.カリニ肺炎はPneumocystis cariniiという微生物が,宿主の肺胞腔内で急激に増殖することによって引き起こされる.Pcariniiは真菌に分類される真核微生物であり,栄養型であるトルホゾイトと嚢子シストからなる生活環を持っている.トルホゾイト,シストとも,細胞表面上に抗原性の強い糖蛋白質分子を多量に持っており,この表面抗原分子はMSG (major surface glycopro-tein)と呼ばれる.MSGは,宿主の免疫応答の標的となるほか,肺胞上皮細胞への付着に働くこと1)も報告されており,P.cariniiの感染過程に非常に重要な分子と考えられる.このMSGが多型な蛋白質部分を持つ分子のファミリーであること2,3)は,筆者らとKovacs (米国)らの独立した研究によって明らかとなった.どのようなメカニズムで多型なMSG分子が発現してくるのか研究をさらに進めた結果,染色体上の一定のMSG発現部位から遺伝子のスイッチによって多型なMSG分子が発現するらしいということが明らかになってきた4).
MSG-cDNAは全長が約4kbで,5’領域を除くほとんどの領域で多型性が認められ,アミノ酸配列で比較すると約70%の類似性がある.
MSG-cDNAは全長が約4kbで,5’領域を除くほとんどの領域で多型性が認められ,アミノ酸配列で比較すると約70%の類似性がある.
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