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文献詳細

雑誌文献

臨床検査4巻1号

1960年01月発行

文献概要

新しい検査法

紫外線カラーテレビジヨン顕微鏡および定量用紫外線顕微鏡について

著者: 市川收1

所属機関: 1農林省家畜衛生試験場研究第3部

ページ範囲:P.55 - P.58

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 顕微鏡によつて細胞,組織を観察しようとする試みは古くから行われているが,初期段階では染色したものを見る光学顕微鏡が普通であつた。その後生体のままで細胞の屈折率のちがいを利用して見ようとした位相差顕微鏡とか干渉顕微鏡が出現したが,さらに進んで細胞構成物質の非可視光による吸収を利用して観察する紫外線顕微鏡,赤外線顕微鏡,X線顕微鏡などが作られて,ますます生の状態における細胞構造の探究が出来るようになつて来た。
 細胞の最も重要な構成物質である核酸や蛋白質は,いずれも紫外部に強い吸収をもつている。核酸は2種類あつてデソキシリボ核酸(DNA)は核に,リボ核酸(RNA)は仁と細胞質に含まれている。前者は核の主要成分であり,細胞の遺伝を支配する物質として知られ,後者は蛋白合成に関与する物質として近年ますます重要性を強調されてきた。このような核酸は2600Åに強い吸収をもつているし,その吸光係数は20/mg/cc/cmの大さで,蛋白質の20倍以上である。紫外線顕微鏡による核酸の研究は,ウイルスとか癌の研究に重要な武器となつたのはこれらが核酸をもつているからであつて,紫外線吸収像を観察することによつて細胞化学的に細胞内の核酸の動向をしらべることが出来る。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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