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座談会
標準液について
著者: 長沢佳熊1 松村義寛2 天木一太3 樫田良精4 斉藤正行4 松橋直4 高橋昭三5
所属機関: 1国立衛生試験所 2東京女子医大 3日大 4東大 5東大細菌学教室
ページ範囲:P.106 - P.118
文献購入ページに移動樫田 近ごろ臨床検査室が方々の病院にもできて,特に化学的測定が盛んに行われております。病人を診断する,あるいは病状,病態の変化を追及する場合には,出た数値の増減がかなり問題になりますし,また人間ドツクも非常にはやつておりますが,この場合にも正確な数値が必要になつてくる。そういう場合に,測定の基準になる標準液がいろいろな面で大事であることは申すまでもないことなのです。近ごろ臨床化学の有志の方々で,総コレステロールをはかる精度を試すために,1つのサンプルを各検査室に回して,一斉にはかつていただき,その検査データを集計したら,その数値が,一番少いのは60mg/dl,一番高いのは300mg/dlで,5倍の開きがあつた。こういうことになると,何のためにこういう測定をしているのか,われわれ関係者というか,利用者の立場から非常に不安になるわけです。そういう意味では,いろいろな機械を使う場合のスタンダード・カーブとか,あるいは標準液というものの厳密性の再検討を要するのじやないかと思います。そういう意味で,化学の問題を主として先にお話ししていただいて,あとは同じように重要な標準血清とか,あるいは因子血清,そういうものについてもいろいろ検討していただきたいと思います。
初め斉藤先生から,いかに測定というものはむずかしいか,標準液,スタンダードというものも相当吟味しなくてはいけない。アメリカにも何かそういうようなデータがあるそうですが,ひとつその辺からお話しいただけませんか。
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