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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻1号

1996年01月発行

文献概要

トピックス

イムノアッセイに干渉するイムノグロブリン

著者: 橋本琢磨1

所属機関: 1金沢大学医学部臨床検査医学講座

ページ範囲:P.80 - P.82

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 近年イムノアッセイは,化学発光や蛍光を用いた第3世代の測定法に改良され,感度,精度が著しく向上してきたが,新たな問題が生じてきた.それは異型抗体による測定値への影響である1-3)
 これら異型抗体(human anti-murine antibodi-es;HAMA)は種特異性がなく,種々の動物イムノグロブリンと結合するのでなかなか難しい問題である.異型抗体はTSH, LH, FSHなど下垂体ホルモンやCEA, CA 19-9, CA 125などの腫瘍マーカー,さらにHBAb, HBAgなどのウイルス抗体の測定においてしばしばみられる.表1に異型抗体の頻度を示す.報告者によって大きなバラツキがみられるが,それはキットに用いられた動物の違い,さらにキットの品質によるところが大きい.われわれの経験によれば,試薬メーカーの技術が良ければ,HAMAの影響は最小限に抑えることが可能である.例えば,AIA-1200を用いた東ソーのTSHキットは1994年7月の時点ではHAMAの影響を強く受けていた4).しかし,その事実を指摘すると,わずか6か月でHAMAの影響を受けない試薬に改良した(表2).他社のキットは影響を受けるままになっているのに対し,現在市販の東ソーTSHキットはそれがないので安心して使用することができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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