icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻10号

1996年10月発行

文献概要

今月の主題 糖尿病―診断・治療の指標 話題

HbA1cの測定の標準化

著者: 片山善章1

所属機関: 1国立循環器病センター臨床検査部

ページ範囲:P.1169 - P.1174

文献購入ページに移動
はじめに
 糖尿病患者の血糖コントロール状態の中期指標としてグリコヘモグロビン(HbA1c)が広く用いられている.その測定法は,現在,高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法が主流を占めているのは周知のとおりである.利用されている機種は京都第一科学,東ソーの2社のHPLC法が90%以上を占めているが,これらの測定装置によるHbA1c測定値は,装置間の誤差はもちろんのこと同種装置間においても誤差が生じている場合がある.その最大の原因は不安定型HbA1c分画の取り扱いが施設によって異なっていることである.すなわち不安定型HbA1c値に差が生じる.最近は装置内で不安定型HbA1cの除去が可能になっているが,HPLC法が普及しはじめた当初は不安定型HbA1cを全血試料溶血液で溶血処理して室温放置することによる前処理法による除去法が利用されていた.したがって,この前処理の実施の有無によってHbA1c値が異なり,HbA1c値の施設間誤差が生じ,糖尿病診療に混乱をきたしている.
 このような現状において,日本糖尿病学会の学術調査のテーマとして「HbA1cの標準化」が1993年8月に取り上げられた.現在も検討中であるが,本稿では今までの3年間の活動内容を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?