icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻10号

1996年10月発行

文献概要

トピックス

新しい肝炎ウイルス―HGV/GBV-C

著者: 上田一仁1 清水章2

所属機関: 1大阪医科大学附属病院中央検査部 2大阪医科大学病態検査学教室

ページ範囲:P.1205 - P.1207

文献購入ページに移動
 血液を介してヒトに感染し肝炎を引き起こす新しい肝炎ウイルスの存在が1995年に相次いで2つの施設から報告された.1995年1月の輸血の安全性に関する学会で,Genelabs社のKimら1)のグループは,仮にG型肝炎ウイルス(hepatitisG virus;HGV)と名付けた因子をこれまでにない肝炎ウイルスであると報告した.
 HGVは非ABC輸血後慢性肝炎の患者から得られたプラス鎖RNAウイルスで,輸血前の保存血清にはHGV-RNAは認められず,輸血後アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の上昇に伴ってHGV.RNAが検出された.HGVはアミノ酸配列の類似性からフラビウイルス科であることが明らかになった.一方,1995年4月,Ab-bott社のMushahwarら2)のグループは約30年前に肝炎を発症した外科医の血清から,タマリン(南米産キヌザルの一種)に肝炎を発症させることができ,継代培養が可能な因子を発見した.この外科医のイニシャルから"GB agent"と名付けられたこの因子は非A-E型の新しい肝炎ウイルスである可能性が強く示唆された最初にタマリンから検出された因子はGBウイルスA (GBV-A),GBウイルスB (GBV-B)の2種でともにフラビ様ウイルスであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?