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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻12号

1996年11月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編

クラミジア・トラコマチス

著者: 宮下修行1 松島敏春1

所属機関: 1川崎医科大学呼吸器内科

ページ範囲:P.1326 - P.1331

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はじめに
 Clamydia trachomatis感染症は日本や欧米をはじめ,世界的にも淋菌感染症を上回り,最も頻度の高い性行為感染症と考えられている.本菌はヒトを自然宿主としてヒト・ヒト伝播し,封入体結膜炎やトラコーマなどの眼疾患,非淋菌性尿道炎,子宮頸管炎,骨盤内感染症,肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群),新生児封入体結膜炎・肺炎など,多彩な病気を引き起こしてくる.さらに本菌による感染症の特徴として,無症候性感染例が多く,そのため男女間のピンポン感染,反復感染が起こりやすい状態にある.初感染,再感染時にはそれほど重篤でなくても,反復感染を繰り返すことによって,骨盤腹膜炎,卵管閉鎖症,失明など重篤な続発症に発展することがある.そのため,早期診断,早期治療が重要となる.
 迅速に特異的に診断する方法として,遺伝子を利用した臨床診断法が近年の病原微生物検査法の流れである.とりわけクラミジア感染症では,その基礎的・臨床的研究の急速な進歩によって,すでに種々の診断キットが市販されるに至っている1~7).本稿では,Chlamydia属の中でもいちはやく遺伝子診断が開発され,臨床応用されているC.trachomatisの現況について概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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