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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻13号

1996年12月発行

文献概要

トピツクス

質量分析の臨床検査への応用

著者: 中西豊文1 岸川匡彦1 宮崎彩子1 清水章1

所属機関: 1大阪医科大学・病態検査学

ページ範囲:P.1456 - P.1458

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 質量分析法(mass spectrometry;MS)の臨床応用は,1966年,田中らのgas chromatography/MS (GC/MS)によるイソ吉草酸血症の化学診断に始まった.先天性の代謝酵素欠損によって蓄積した異常中間代謝物を尿から抽出し,GC/MSで検出・定量し,診断・治療に寄与している.わが国では,松本氏(金沢医大教授)らが中心になり,GC/MSによる尿中有機酸分析が実施され,先天性代謝異常症の研究に大きく貢献してきた.しかし将来,臨床検査に導入するには,定量性と分析精度を高め,ほかの検査項目と同様,精度管理を行う必要があると考える.筆者らの施設では,安定同位元素で標識した内部標準の多種類使用により分析精度が向上し,信頼性の高い定量値が得られた1)
 一方,近年高分子量化合物に対するMSのイオン化法の技術革新がめざましく100kDaを超える蛋白質などを高感度(10-18molレベル),高精度(<0.01%)で分析し得るソフトイオン化法(electrospray ionization; ESI, matrix-assisted laser desorption ionization;MALDI)が開発され,高分子量化合物の検出・構造解析に応用されている.異常ヘモグロビン(Hb)症,家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)では,蛋白質の1次構造の変異により惹起される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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