文献詳細
今月の主題 活性酸素とSOD
活性酸素と病態
文献概要
虚血に陥った心筋はATPが減少し,乳酸などの代謝産物の蓄積によるアシドーシスが生じる.また細胞内Ca2+が上昇しミトコンドリア機能が傷害される.この準備状態の心筋に虚血の解除を目的として再灌流(酸素の再供給)するとO2-やH2O2などの活性酸素が発生する.これらは遷移金属イオンの存在下でさらに活性な分子種を生成し,細胞膜脂質や蛋白を攻撃する.またO2-は一酸化窒素(NO)と反応してNOを消去し,血流障害や白血球の粘着の増悪因子となる.再灌流傷害に対してSODや抗酸化剤を投与した膨大な成績の中で,これらに心筋壊死の減少効果がないとする報告も多い.その原因は実際に組織傷害をきたす活性酸素種と,それらのターゲットが明確でないこと,SODなどの治療薬のターゲットへの到達に問題があるためと考えられている.〔臨床検査40:166-170,1996〕
掲載誌情報