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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻2号

1996年02月発行

文献概要

今月の主題 活性酸素とSOD 活性酸素と病態

著者: 児玉昌彦1

所属機関: 1国立がんセンター研究所生物物理部

ページ範囲:P.197 - P.200

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 癌(悪性腫瘍)の原因は,物理的,化学的,生物的と多様だが,酸素ラジカルはすべてに共通したキーワードとなっている.放射線も発癌物質も,酸素ラジカルによって細胞増殖を刺激し,遺伝子を不可逆的に変化させる.ウイルス感染や慢性炎症,ホルモン異常の場合にも,酸素ラジカルは情報伝達の歯車の1つとして,がっちり組みこまれている.癌細胞は,酸素ラジカルに満ちた細胞環境で生まれた異端児なのだ.
 酸素ラジカルは,癌治療にも広く応用されている.放射線,制癌剤,光増感,温熱療法,免疫療法.最近は,癌細胞内の酸素ラジカルを高めて,自殺へ誘導する試みも行われている.
 しかし,今後,最も望まれるのは,体外,体内のラジカルをコントロールすることによって,癌という異端児を生まない体内環境作りをすることであろう.〔臨床検査40:197-200,1996〕

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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