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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻2号

1996年02月発行

文献概要

トピックス

ビタミンEとストレス

著者: 平原文子1

所属機関: 1国立健康・栄養研究所食品科学部

ページ範囲:P.218 - P.219

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 塞冷暴露に対する生体の反応から生まれたストレスの概念は,汎適応症候群の全身的なものから,局所炎症,創傷などの局所的なものもあり,いまだ定義づけられているものではない.ビタミンE (以下Eと略す)研究の分野では,通常は酸化的ストレス(oxidative stressまたはoxidantstress,以下ストレスと略す)を指し,酸素分子の還元で生じる活性酸素(表1)がストレスの原因となる.生物にはこれらの活性酸素を消去する酵素,スーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼなどが備わっており,通常は活性酸素の生成と消去の間にはバランスが保たれている.合目的なことに,過剰の活性酸素が細胞内で生じるような場合にはこれらの消去機構が誘導される.さらに活性酸素によって生じたDNA損傷を修復するシステムも重要な防御機構であり,SOS応答反応として,あるいは適応応答の結果として活性酸素によって誘導される.しかし,負荷が過剰なときは活性酸素の産生を介して生じる多くの変化が生体に種々の障害をもたらし,病態的変化が発生する.それに対して,Eをはじめとする活性酸素消去剤の補給はこれらの症状の予防や軽減に有効とされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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