icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻3号

1996年03月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編

HIV

著者: 大渡五月12 栗村敬2

所属機関: 1大阪大学医学部微生物病研究所免疫 2生体防御研究部門ウイルス感染制御分野

ページ範囲:P.336 - P.340

文献購入ページに移動
はじめに
 HIV感染症の診断法として,一般に抗体検査法が用いられているが,感染から抗体が産生されるまでに,6~8週間かかること,抗体が陽転化するまで2~3年かかるサイレント感染が存在すること,母子感染の診断で新生児期には母体からの移行抗体のため偽陽性が出る可能性があり正確な診断ができないことなどの問題がある.このため,抗体検査法以外の,さまざまな検査法が実施されている.その他の検査法として,ウイルス分離,p24やp17などの抗原測定,ウイルス核酸検出などがある(図1).ウイルス分離については,バイオハザード対策施設が必要であり,ウイルスを分離するためには約1か月程度の時間と多額の費用がかかり,臨床的には実用的でない.抗原測定についても,感染初期やエイズ末期のウイルス血症の時期以外の潜伏期に,末梢血でウイルス抗原を検出することは難しい.そのため臨床の場では,診断法として,簡便で感度や特異性に優れているPCRを中心とした技術が重要になってきている.ここでは,末梢血単核球細胞のPCRによるプロウイルスの検出法と血清中のウイルスRNAの検出法,PCR法を利用したAZT耐性ウイルスの検出法,さらに,ウイルスRNAの定量法について概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?