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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻3号

1996年03月発行

文献概要

私のくふう

結核菌培養における培地溶解を防ぐ工夫―アルカリ剤処理液の工夫

著者: 坂谷敏子1

所属機関: 1国家公務員等共済組合連合会吉島病院

ページ範囲:P.368 - P.368

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 筆者の勤務している病院は,ベッド数230床のうち56床が結核病棟である.
 結核菌検査で大切なことは,周知のとおり抗酸菌を検出することであり,なかでも培養検査は,次のステップである同定検査や耐性検査をするに当たって,重要性を占めている.近年,生材料から直接結核菌を検査する遺伝子診断法が開発され,普及してきているが,従来法との不一致が,最近問題となってきており,培養法の見直しがされつつある.培養法においての最大のポイントは,前処理法であり,一般的に普及しているのがアルカリ剤処理である.最近,非定型抗酸菌症が増加するなかで,非定型抗酸菌の発育を阻止する高濃度のアルカリ剤処理は好ましくなく,また一般に,高濃度のアルカリ剤処理は雑菌の多い検体には適しているが,非定型抗酸菌の発育を抑制してしまう恐れがある.また低濃度のアルカリ剤処理は,非定型抗酸菌の発育は抑制されにくいが,雑菌汚染が目立ち,培地溶解を起こしてしまう.この培地溶解は,ゼラチン液化能を有する細菌(PseudomonasやFlavobacteriumなど)により生じ,培養結果が判定不能となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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