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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻4号

1996年04月発行

文献概要

トピックス

複雑型子宮内膜増殖症

著者: 中島伸夫1

所属機関: 1名古屋大学医学部臨床検査医学講座

ページ範囲:P.469 - P.470

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 WHOの女性生殖器腫瘍の組織型分類の改訂に従い,わが国の子宮体癌取扱い規約も改訂される.新しい分類では,子宮内膜増殖症は上皮細胞の異型の有無により,子宮内膜増殖症と子宮内膜異型増殖症の2つの範疇に分けられ,さらに各々の範疇は,腺構造の異常の程度により単純型と複雑型に分類されることとなった(表1).癌に進展する危険性を予知するには,細胞異型の存在が良い指標となることが分かってきた.そのため細胞の異型の有無を正確に診断する必要がある.
 複雑型子宮内膜増殖症(図2)は,"細胞異型を伴わない子宮内膜腺の過剰増殖からなり,腺の形態は著しく複雑で,腺の密度は高く,腺の極性は乱れている"と定義されている."細胞異型を伴わない"とは,上皮細胞が高円柱形,核は長円形,大きさと形が均一,細胞と核の長軸は基底膜に垂直方向(極性)を示し,正常の増殖期内膜腺の上皮細胞(図1)に類似することを意味する.複雑型子宮内膜異型増殖症(図3)では細胞は形が種々,核は大きさと形が多彩であり,核と細胞に極性の乱れを見るなど対照的である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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