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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻5号

1996年05月発行

文献概要

今月の主題 心筋梗塞の生化学的マーカー 話題

トロポニンI

著者: 高木康1

所属機関: 1昭和大学医学部臨床病理

ページ範囲:P.581 - P.583

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1.トロポニンIとは
 トロポニンは3つのサブユニット,すなわちトロポニンC (TnC),トロポニンI (TnI),およびトロポニンT (TnT)からなり,トロポミオシンとともに筋肉収縮を調節している蛋白である.
 筋肉は太いフィラメント(ミオシン)と細いフィラメント(アクチン)が互いに滑り込むことにより収縮する.静止筋ではTnIがアクチンと結合してミオシン頭部がアクチンと接触するのを阻害している.これが筋肉が収縮するときには,まず活動電位によって放出されたCa2+がTnCに結合し,これによりアクチンとTnIとの結合が弱まり,トロポミオシンが側方に動くことが可能となる.トロポミオシンが側方に動くとアクチンのミオシン頭部に対する結合部位のおおいが取り去られ,アクチン線維とミオシン頭部との相互作用が可能となり,収縮が起こる.TnIはアクトミオシンのATPase活性を阻害することで,TnCとカルシウムの結合を阻害しているのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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