文献詳細
文献概要
トピックス
ミニセルによる遺伝子産物の解析
著者: 松浦基博1
所属機関: 1自治医科大学微生物学
ページ範囲:P.596 - P.598
文献購入ページに移動 細菌が増殖する場合,通常は細胞の中央部に隔壁を合成し,染色体をはじめ,もとの細胞と同一の成分を有する相同の2個の細胞に分裂する.ところが,細胞分裂に異常をきたし,細胞の末端近くに隔壁を合成し分裂するため,分裂後の一方の細胞は正常であるが,もう一方の細胞として正常細胞に比べてはるかに小さい細胞(ミニセル)を産生する変異株(ミニセル産生株)が存在する.このような変異株によって産生されるミニセルは,細胞壁や細胞質膜の構成成分および細胞質に含まれる種々の蛋白質やRNAなどは,元の細胞と変わらないが,染色体DNAは含まないという大きな特徴を有している.そのため,ミニセルは一般の代謝機能は有しているが,ミニセル自体がさらに分裂,増殖を行うことはできない細胞である.したがって,ミニセルを増やすためには,ミニセル産生株を増殖させ,その分裂に伴って産生されるミニセルを蓄積させるという方法を取らなければならない.
このようなミニセル産生株がプラスミドを保持している場合には,プラスミドDNAは染色体DNAとは異なり,ミニセル中にも複製されるという特性を有していることが見いだされた.プラスミドは,細菌細胞内で染色体DNAとは独立して存在する環状DNAであるが,プラスミド上にコードされた遺伝子も染色体遺伝子と同様に発現されるため,菌の表現型に大きな影響を与える.
このようなミニセル産生株がプラスミドを保持している場合には,プラスミドDNAは染色体DNAとは異なり,ミニセル中にも複製されるという特性を有していることが見いだされた.プラスミドは,細菌細胞内で染色体DNAとは独立して存在する環状DNAであるが,プラスミド上にコードされた遺伝子も染色体遺伝子と同様に発現されるため,菌の表現型に大きな影響を与える.
掲載誌情報