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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻5号

1996年05月発行

文献概要

研究

好酸球性胸水の臨床病理学的検討

著者: 畠榮1 横山奈穂子2 大倉貢3 広川満良4

所属機関: 1川崎医科大学附属病院病院病理部 2せのお循環器科心臓血管外科 3川崎医科大学附属病院中央検査部 4川崎医科大学病理学教室

ページ範囲:P.603 - P.606

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 好酸球性胸水の臨床病理学的特徴を検討した.胸水中に10%以上の好酸球増多を認めた110症例を対象とし,原因疾患と好酸球数との関係について比較検討した.好酸球性胸水症例の原因疾患は,悪性腫瘍は110例中51例(46.4%),感染症25例(22.7%),気胸11例(10.0%),肺梗塞4例(3.6%)であった.
 胸水と末梢血の好酸球数の割合の関係は,Pearsonの相関関数でt=3.072(df=103),p=0.0027という相関を示し,悪性腫瘍51例中の7例(13.7%)に末梢血の好酸球増多を認めた.好酸球性胸水中の白血球分類について,リンパ球優位型は42例(38.2%),好酸球優位型は36例(32.7%)で,悪性腫瘍がともに首位を占めていた.
 今回の検討で,好酸球性胸水の原因疾患でもっとも高頻度に認められたものは悪性腫瘍であった.リンパ球優位型の好酸球性胸水では悪性腫瘍を念頭におき検索する必要があると考えられた.しかし,好酸球数で好酸球性胸水を引き起こす疾患を断定することは困難であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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