文献詳細
文献概要
今月の主題 性感染症(STD) 話題
HIVの長期未発症とその意味するもの
著者: 玉川重徳1
所属機関: 1東京都立衛生研究所毒性部
ページ範囲:P.714 - P.716
文献購入ページに移動1.HIV感染の長期未発症1)
HIV感染者の長期未発症の機構を免疫機能に求める報告が多く,最近では,感染細胞を破壊する抗体を証明したという報告がある.しかし,感染細胞の破壊する免疫反応としては,細胞傷害性リンパ球や細胞溶解反応が知られているが,この場合,自己免疫疾患の誘発がない程度に抑えなければならないという条件がある.一方,宿主細胞の感受性を制御する物質も報告されているが,これにはインターフェロンやウイルスの干渉現象,蛋白の非特異的,あるいは合目的会合現象によるウイルスの制御も含まれよう.1つの現象にいろいろな考えがあって当然であるが,すべてのウイルス感染で,発症する例や未発症例が見られるので,それらを,ウイルスと人体の基本的な生態に関わる機構の関係としてとらえ,統一的に説明できる機構を考えることは重要である.
HIV感染者の長期未発症の機構を免疫機能に求める報告が多く,最近では,感染細胞を破壊する抗体を証明したという報告がある.しかし,感染細胞の破壊する免疫反応としては,細胞傷害性リンパ球や細胞溶解反応が知られているが,この場合,自己免疫疾患の誘発がない程度に抑えなければならないという条件がある.一方,宿主細胞の感受性を制御する物質も報告されているが,これにはインターフェロンやウイルスの干渉現象,蛋白の非特異的,あるいは合目的会合現象によるウイルスの制御も含まれよう.1つの現象にいろいろな考えがあって当然であるが,すべてのウイルス感染で,発症する例や未発症例が見られるので,それらを,ウイルスと人体の基本的な生態に関わる機構の関係としてとらえ,統一的に説明できる機構を考えることは重要である.
掲載誌情報