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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻9号

1996年09月発行

文献概要

今月の表紙 表在性真菌症の臨床検査シリーズ

皮膚糸状菌症 6.生理学的/分子生物学的特徴に基づく検出・同定法

著者: 山口英世1 内田勝久1 槙村浩一1

所属機関: 1帝京大学医真菌研究センター

ページ範囲:P.990 - P.991

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 これまで示してきたように,白癬菌の検出・同定は培養検査,特に発育コロニーの肉眼的観察とスライド培養の鏡検によって得られる形態学的特微によって行うのがあくまで基本である.しかし典型的な形態を示さない菌株も少ないところから,従来より生理学的特徴を調べる試験法のいくつかが,補助的検査として併用されてきた.主なものとしては,①栄養要求性テスト,②尿素分解(ウレアーゼ)テスト,③色素産生テスト,④毛髪穿孔テスト,⑤交配テスト,などが挙げられる.この中で日常検査として比較的簡単に実施できるのは①~③である.①についてはすでに述べたので(本誌第40巻第6号参照),ここでは②と③を中心に解説する.
 ウレアーゼテストは,ウレアーゼ活性すなわち尿素を分解してアンモニアなどのアルカリ性代謝物を産生する活性の有無を調べるテストである.Trichophyton rubrum菌株はほとんど例外なくウレアーゼ活性を欠く(陰性).一方,T.menta-grophytes菌株の大多数は強い活性を示す(陽性).したがって,ウレアーゼ活性の有無によって両菌種の鑑別がある程度可能となるが,T.mentagro-phytesでもこの活性を持たない(陰性)菌株が10%ほどある点に留意しなければならない.図1にその実施例を示す.市販のクリステンゼン尿素培地上で2~3週間培養すると,陽性菌の場合には培地がアルカリ性となるために黄色から紅色へと変化する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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