icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻10号

1997年10月発行

文献概要

今月の主題 フローサイトメトリー―最近の進歩 話題

細胞表面抗原定量化のための新指標

著者: 池田忠子1

所属機関: 1杏林大学医学部臨床病理学

ページ範囲:P.1143 - P.1145

文献購入ページに移動
1.はじめに
 現在,フローサイトメトリー(FCM)によるリンパ球表面抗原の解析では,蛍光標識モノクローナル抗体(MoAb)を用いて,さまざまな抗原分子を認識し当該抗原陽性細胞の比率を算定することにより,各機能的サブセットの量的変動を評価する,という点に重点が置かれている.解析過程で得られる前方散乱光(FSC)や蛍光強度(FI)といった情報は細胞選別や抗原検出に利用されるにとどまり,細胞あたりの抗原量を反映するFIの強弱が抗原密度の違いによるのか,あるいは単に細胞サイズの違いに依存するのかといった分析はあまりなされていない.FIと細胞サイズとの関連に関する報告としては,検索した限りでは,急性リンパ性白血病共通抗原(CALLA)発現に関するLookら1)の報告,巨核球上の糖蛋白発現に関するTomerら2)の報告など比較的少数である.
 われわれはこれまで,FSCやFIがリンパ球の活性化や腫瘍化などの病態解析にきわめて有用だろうとの見地に立って,両者の相互関係を検討し,細胞サイズの変化を考慮に入れた抗原密度の新指標として"FF係数"を考案し,CD 4抗原,CD 8抗原(以下CD 4,CD 8)に関する男女間や亜群間の比較,コンカナバリンA培養におけるCD 4,CD 25抗原の発現状況の違いなど,その有用性に関する基礎的な検討を行ってきた3).ここではT細胞上のCD 4やCD 8についての亜群間比較を例にとり,FF係数の算出法を紹介し,その意義などに少し触れてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?