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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻10号

1997年10月発行

文献概要

今月の主題 フローサイトメトリー―最近の進歩 話題

アポトーシスの解析

著者: 原信介1 綾部公懿1

所属機関: 1長崎大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1155 - P.1157

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1.はじめに
 アポトーシスは従来からの"病理学的細胞死"であるネクローシスと形態学的に明らかに異なる細胞死として,1972年にKerrらにより名付けられた1).この"生理学的細胞死"あるいは"プログラムされた細胞死"であるアポトーシスは個体の形態発生に重要なだけでなく,神経の変性疾患や悪性腫瘍の発生,進展にも深くかかわっている.近年,制癌剤や放射線による癌細胞のアポトーシスが制癌剤の効果の判定や薬剤耐性に広く研究されている2~7,12).本稿では,癌培養細胞を用いたフローサイトメトリーによるアポトーシスの定量的測定について述べる7,8)
 アポトーシスの判定は,もともと顕微鏡による形態観察においてなされた.すなわち,細胞の形態変化として水泡様変化や断片化(blebbing),アポトーシス小体の形成,核クロマチンの形態変化として核凝縮,偏在凝縮核であるが,これらは各種顕微鏡で観察できる9).ヌクレオソーム単位のDNAの断片化は,アガロースゲル電気泳動法を用いて特徴的なladder patternが検出される10).アポトーシスをきたした細胞,すなわちDNAの断片化をきたした細胞のフローサイトメトリー(FCM)を用いた代表的な解析法を2つ示す.ほかの方法は成書を参照されたい10,11)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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