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今月の主題 フローサイトメトリー―最近の進歩 話題
フローサイトメーターによるp53蛋白の解析―基礎的設定と固形材料への応用
著者: 市川明1 五十嵐誠治2
所属機関: 1栃木県立がんセンターDNA解析室 2栃木県立がんセンター・病理
ページ範囲:P.1161 - P.1165
文献購入ページに移動p53遺伝子は発見された当初,癌遺伝子の可能性があるとされたが,多くの癌でp53遺伝子異常が発見され,野生型は癌抑制遺伝子とされた.最近では多くの遺伝子の転写を活性化することから転写因子の範疇にも入れられている.
野生型p53の主な働きの1つはDNAに損傷が生じた場合,その修復のためp21WAF1/CIPを転写活性させて細胞周期をG1期に停止させることにある.そして,修復不可能な場合はいわゆるp53介在性アポトーシスが誘導される.しかし,変異型では,その細胞周期停止作用は失われるだけでなく,ras遺伝子との共同作用によって細胞の形質転換を起こす.
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