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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻10号

1997年10月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編

異常血色素の遺伝子診断

著者: 服部幸夫1 大庭雄三1

所属機関: 1山口大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.1179 - P.1183

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はじめに
 血色素(Hb)は赤血球中の主要な蛋白で,組織への酸素運搬機能を担っている.Hbはα鎖,非α鎖各2分子ずつからなる四量体であり,成人血球のHb組成は平均してHbA(α2β2)96%,HbA2(α2δ2)2.5~3.5%,HbF(α2γ2)1%以下である.異常血色素症はこの両鎖のどちらかのアミノ酸配列に異常がみられるものである.変異は1996年までで,α,β,γ鎖異常がそれぞれ199,335,68種類に達しているが,このうち頻度が高いのはHbS, HbC, HbEなど数種類に限られる1).日本人には比較的少なく,HbA異常が3,000人に1人,HbF異常が1,000人に1人の割合で見いだされる.最近では高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるHbA 1 cの分析中に発見されることが多い.このうちの大部分は安定型異常Hb症で,機能的には正常で臨床的意味は少ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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