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ヒト血清マンノース結合蛋白
著者: 寺井格1 小林邦彦2
所属機関: 1北海道立衛生研究所疫学部臨床病理科 2北海道大学医学部小児科
ページ範囲:P.1185 - P.1188
文献購入ページに移動MBPはCa2+依存性にN-アセチルグルコサミン,マンノースなどの糖鎖と結合し,オプソニン作用を発揮するが,池田らはこれに補体活性化作用もあることを見いだし,さらに松下らは,補体活性化にはMBPと複合体を形成するセリンプロテアーゼ(MBP associated serinepro tease;MASP)が関与することを見いだした.MASPは分子量8万3千で,構造的,機能的にClsに類似した蛋白である.川上らも,古くからサルモネラに結合し,補体依存的に殺菌作用を示す脊椎動物の血清成分をRaRF (Ra reactive factor)と名付けて研究してきたが,これはMBPとMASPとの結合体であることが判明した.MBPMASP複合体では,異物上の糖鎖と結合したMBPがMASPを活性化する.活性化されたMASPは,そのセリンプロテアーゼ作用によりC4, C2を切断し,C3転換酵素(C4b2a)を形成するとともに,弱いながらも直接C3を分解する活性をも有し,以後の補体活性化反応を導く(図2)2,4.その,抗体を介さない新しい第3の補体活性化経路はレクチン経路と名付けられた.われわれは,MASPにはプロテアーゼ阻害作用を持つα2マクログロブリン(α2M)が結合してその活性化を阻害することを見いだし,MBP-MASP複合体の補体活性化はα2Mを介して制御される可能性を示した.活性化はC1インヒビターでも阻害されることから,生理的条件下ではどちらが主役か興味がもたれる.ごく最近,デンマークの一派が,新しいMASP (MASP 2)の存在を報じ,従来の松下らのMASPをMASP 1と命名した.
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