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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻12号

1997年11月発行

文献概要

今月の表紙 深在性真菌症の臨床検査シリーズ・7

二形性真菌による地域流行型感染症(1)

著者: 山口英世1 内田勝久1

所属機関: 1帝京大学医真菌研究センター

ページ範囲:P.1596 - P.1597

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 病原真菌の中には,同一菌でありながら,環境条件および(または)栄養条件次第で,酵母形で発育したり菌糸をつくったりするものがある.このように2つの異なる形態の栄養形で発育する能力を持つ真菌は,一般に二形性真菌と呼ばれる.真菌全体の中では二形性菌の占める比率は低いが,病原真菌として重要な菌種がいくつも含まれているため,医真菌学領域では以前から重要視されてきた.このシリーズですでに取り上げたSporoth-rix schenckii, Candida spp.(C.glabrataを除く),Trichosporon beigeliiなども二形性真菌に属する.
 しかし最も典型的な二形性真菌として古くから注目されてきたのは,生体組織内または体温に近い温度(35~37℃)で培養した場合に酵母形,通常の培養温度(25~30℃)ならば菌糸形で発育するタイプの病原真菌である.このように生体内,培地上を問わず,発育形態を左右する主たる要因が温度であることから,これらの真菌は温度依存性二形性真菌とも呼ばれる.ただし,通常の培地上では培養温度を上げただけでは酵母形発育が不完全な場合が多く,栄餐源の登富な培地(例,血液添加BHI寒天,トリプティケート・ソイ寒天)を用いると,より完全な酵母形発育がみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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