icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻12号

1997年11月発行

文献概要

今月の主題 標準物質 巻頭言

標準物質の供給がなぜ必要なのか

著者: 中甫1

所属機関: 1福祉・医療技術振興会日本福祉総合医療研究所

ページ範囲:P.1601 - P.1602

文献購入ページに移動
 分析により得られる定量検査の結果には必ず誤差が含まれる.この誤差は測定の精密さに関連する偶然誤差と測定の正確さに関連する系統誤差に大別できる.系統誤差はさらに試料濃度に関係なく一定方向に一定比率で偏りが生じる比例系統誤差と,試料濃度に関係なく一定方向に一定の大きさで偏りが生じる一定系統誤差に分けて取り扱われる.近年の測定法,測定機器の著しい進歩と内部精度管理の普及と努力により施設内の測定の精密さは著しく向上している.一方,種々の精度管理調査の結果からも明らかなように,測定値の施設間差が無視できない項目が存在する.精密さが確保されている現在,これらの施設間差は正確さの偏りが原因で,誤差成分としては主として比例系統誤差である.このような比例系統誤差の主な原因は,測定値の正確さの物差しとなる標準物質に負うところが大きい.したがって,適切な標準物質が存在し,それを共有することにより定量値の正確さの保証が可能になることはいうまでもない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?