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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻13号

1997年12月発行

文献概要

トピックス

出血性大腸菌O 157による食中毒の疫学

著者: 田部陽子1

所属機関: 1順天堂大学臨床病理学

ページ範囲:P.1809 - P.1810

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 病原性大腸菌(最近は下痢原性大腸菌と呼ぶ)は,現在5種類に分類されている.昨年来トピックスとなっている大腸菌O 157:H7は,腸管出血性大腸菌,あるいは最近ではベロ毒素産生性大腸菌と呼ばれる群に含まれる.本菌による食中毒例を海外と国内の疫学的見地から概観してみたい.
 大腸菌O 157:H7が初めて注目を集めたのは,1982年に米国の2州で発生したファーストフード・チェーンのビーフハンバーガーによる集団食中毒の病原菌としてであった.しかし,それ以前の1977年に子供の下痢便から分離された大腸菌の一部にベロ毒素を産生するものがあるということがすでに発見されていた.そして,大腸菌O 157:H7は,このベロ毒素産生性大腸菌に含まれ,その中で最も頻度が高いものであることが明らかになった.その後も,米国では1992~93年にかけて4州で発生したこれもファーストフード・ビーフハンバーガーによる大規模な集団食中毒をはじめとして,大腸菌O 157:H7による集団食中毒が多数発生している.発生場所は,学校,ナーシングホーム,デイケアセンターなど,地域のさまざまな施設が含まれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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