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今月の主題 Internal Quality Control 話題
常用酵素標準物質(ERM)
著者: 小川善資1 木村孝司2 牧瀬淳子2 山口正3 池谷均4 須郷秋恵5 斉藤奈々子6 伊藤啓1
所属機関: 1北里大学医療衛生学部 2横須賀共済病院中央検査科 3横浜市立港湾病院検査部 4神奈川県リハビリテーション病院検査部 5横浜市立大学医学部附属浦舟病院中央検査部 6横須賀市立市民病院臨床検査技術科
ページ範囲:P.433 - P.440
文献購入ページに移動日本臨床化学会は6種類(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.1;AST)1),アラニンアミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.2;ALT)2),クレアチンキナーゼ(EC 2.7.3.2;CK)3),アルカリホスファターゼ(EC 3.1.3.1;ALP)4),乳酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.27;LD)5),γ-グルタミールトランスフェラーゼ(EC 2.3.2.2;γ-GT)6)のヒト血清中酵素活性の測定方法に対する勧告法を提示し,この方法に準じた常用基準法が設定されている7).この常用基準法で得られる正確な測定値を,日常検査法に正確に伝達させるために用いられる酵素標準液が,常用酵素標準物質(ERM)である.この関係を図1に示した8).
酵素活性測定値の施設間差をなくし,正確な酵素活性値に導くための重要な役割を課せられたERMを確立させるため,日本臨床化学会では1992年10月,酵素,標準品情報,精度管理の3つの専門委員会の合同でERM研究会が組織され,1994年3月には指針案が提案された.これを受け,ERMを製造するためのワーキンググループが作られ,多くの討議が繰り返された.これら議論をまとめたものとして,常用酵素標準物質の規格が公表されるに至った8).この規格に記載されていることが現状でのERMに関する最も正確な情報のすべてであるが,本稿では若干解説を加えさせていただく.
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