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ret遺伝子の変異とヒトの疾患
著者: 浅井直也1 岩下寿秀1 村上秀樹1 高橋雅英1
所属機関: 1名古屋大学医学部第二病理学教室
ページ範囲:P.458 - P.460
文献購入ページに移動ret遺伝子は癌原遺伝子であり,受容体型チロシンキナーゼをコードする.癌原遺伝子とは,癌の原因となる遺伝子異常が起こる遺伝子で,retの活性型変異により細胞の癌化が起こる.ret遺伝子産物は,細胞膜を貫通する構造の蛋白で,細胞活性化因子(リガンド)が細胞外領域の受容体部に結合すると細胞内領域のチロシンキナーゼの活性化が起こり,細胞の分化や増殖をコントロールする.
retの変異によりヒトの細胞に癌化・分化異常が起こり,病気が発症することがわかっている.特に,retは複数の遺伝性疾患の原因である点,臨床像のまったく異なる疾患が同一遺伝子の変異の違いによって発生する点で注目されている.
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