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今月の主題 自己抗体・最近の動向 巻頭言
自己抗体検査の問題と未来
著者: 河合忠1
所属機関: 1国際臨床病理センター
ページ範囲:P.489 - P.490
文献購入ページに移動 自己免疫疾患は,別名自己アレルギー疾患とも呼ばれることがある.免疫とは本来宿主を異物の進入から守るための働きであるから,むしろ病的な免疫応答機能としてのアレルギーを使うほうが正しいという考え方である.しかし,自己抗原に対する免疫応答の結果として現れる自己抗原感作T細胞,および自己抗体がすべて病的反応であるかどうかは,いまだ確認されているわけではない.例えば,変性IgGに対する自己抗体と考えられているリウマトイド因子が生体にとって悪さをして発病に至るとばかりは言えない.むしろ適量のリウマトイド因子は正常の免疫防御機構の結果として生じた微量の変性IgGを持続的に除去(クリア)するのに役だっているという考え方もできる.それでは,"悪玉"自己抗体と"善玉"自己抗体は違った抗体分子であるのか,同じ抗体分子であるのかも不明である.それは,両者を見分けるための確定的な検査法がないからである.もしそのような検査法が開発されたならば,それこそ自己免疫疾患の診療に画期的な有用性をもってくると考えられる.
もう1つの問題点として,自己抗体のみで自己免疫疾患を発病するのはむしろ少なく,発病に関しては自己抗原感作T細胞が主役を演じていると考えられている.それにもかかわらず,自己抗原感作T細胞を検出する日常検査法はいまだ開発されていないので,自己抗体と発病の関連性が不確かのままに検査が行われており,それだけに自己抗体検査の臨床的な意義は限られているのである.
もう1つの問題点として,自己抗体のみで自己免疫疾患を発病するのはむしろ少なく,発病に関しては自己抗原感作T細胞が主役を演じていると考えられている.それにもかかわらず,自己抗原感作T細胞を検出する日常検査法はいまだ開発されていないので,自己抗体と発病の関連性が不確かのままに検査が行われており,それだけに自己抗体検査の臨床的な意義は限られているのである.
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