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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻8号

1997年08月発行

文献概要

研究

熱傷患者皮膚にみられる黒色色素の微小部X線分析による解析

著者: 成富真理1 鐵原拓雄1 広川満良2

所属機関: 1川崎医科大学附属病院病院病理部 2川崎医科大学病理学

ページ範囲:P.955 - P.957

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 熱傷患者皮膚の表面に黒色色素が観察された5症例について,黒色色素の本態を明らかにするために,微小部X線分析を用いて黒色色素の解析を行った.黒色色素は角化層がない皮膚では皮膚表面から組織深部の間質にも侵入しており,治療薬の浸透によると推測された.黒色色素X線分析の結果,全症例で銀が検出された.銀を含むスルファジアジン銀が全症例の皮膚に塗布されていたことから,黒色色素はスルファジアジン銀が沈着したと考えられた.また,5症例中4症例にヨウ素も検出された.消毒薬のポビドンヨードに含まれるヨウ素も受傷皮膚に沈着すると思われた.病理組織診断において熱傷患者皮膚に黒色色素がみられた場合,微小部X線分析を併用することによって,生理的な黒色色素と治療薬にる黒色色素との鑑別ができると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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