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文献概要
特集 感染症診断へのアプローチ 総論
Ⅰ.感染の成立と生体防御
著者: 神谷茂1
所属機関: 1杏林大学医学部微生物学
ページ範囲:P.1188 - P.1211
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1.感染の定義
感染(infection)とは微生物が生体宿主に侵入して定着,増殖し,なんらかの障害を与え,結果的に宿主に免疫反応を惹起させることと定義される.この定義の背景には,宿主と微生物という2生物間の共存状態,つまり共生(symbiosis)の考えが存在している.Theobald Smith (1934年)は感染とは"2つの異質な生物,すなわち宿主と微生物との問に成立する生態学的反応(ecologicalreaction)である"と解釈したが,この考えは現在にも適用できるものである.
感染後,宿主に明らかな臨床症状が引き起こされた場合(発症;overt disease),これを顕性感染(apparent infection)と呼び,引き起こされた疾病が感染症(infectious disease)である(図1).一方,感染により,なんら臨床症状が引き起こされることなく,生体宿主に免疫反応のみ残す感染形態を不顕性感染(inapparent infection)と呼ぶ.
1.感染の定義
感染(infection)とは微生物が生体宿主に侵入して定着,増殖し,なんらかの障害を与え,結果的に宿主に免疫反応を惹起させることと定義される.この定義の背景には,宿主と微生物という2生物間の共存状態,つまり共生(symbiosis)の考えが存在している.Theobald Smith (1934年)は感染とは"2つの異質な生物,すなわち宿主と微生物との問に成立する生態学的反応(ecologicalreaction)である"と解釈したが,この考えは現在にも適用できるものである.
感染後,宿主に明らかな臨床症状が引き起こされた場合(発症;overt disease),これを顕性感染(apparent infection)と呼び,引き起こされた疾病が感染症(infectious disease)である(図1).一方,感染により,なんら臨床症状が引き起こされることなく,生体宿主に免疫反応のみ残す感染形態を不顕性感染(inapparent infection)と呼ぶ.
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