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特集 感染症診断へのアプローチ 総論
Ⅳ.抗菌薬感受性試験
著者: 山口惠三1
所属機関: 1東邦大学医学部微生物学教室
ページ範囲:P.1251 - P.1268
文献購入ページに移動抗菌薬(抗真菌薬)の進歩
1.抗菌薬開発の道程と背景
古代から中世紀に掛けて,われわれの祖先は突然どこからともなく襲いかかる感染症の恐怖と常に対峙してきた.そして,この恐怖に科学的メスが入れられたのは19世紀半ば以降になってからである.すなわち,発酵や感染が微生物により惹起されることを実験的に証明したパスツールやコッホらの業績による.
一方,ある色素が動物細胞は染めず,微生物だけを染める現象を見て,微生物だけを特異的に殺して治療する化学療法の発想に思い至ったのは,ドイツにおけるエーリッヒらのグループである.その一連の研究からやがて梅毒に対し著しい効果を示す砒素系化合物サルバルサンが発見された(秦佐八郎;1909年).しかしながら梅毒に対する社会的偏見や感染症に対する血清療法への傾斜などから,サルバルサンはやがて脚光を浴びることなく,しだいに忘れ去られていった.
1.抗菌薬開発の道程と背景
古代から中世紀に掛けて,われわれの祖先は突然どこからともなく襲いかかる感染症の恐怖と常に対峙してきた.そして,この恐怖に科学的メスが入れられたのは19世紀半ば以降になってからである.すなわち,発酵や感染が微生物により惹起されることを実験的に証明したパスツールやコッホらの業績による.
一方,ある色素が動物細胞は染めず,微生物だけを染める現象を見て,微生物だけを特異的に殺して治療する化学療法の発想に思い至ったのは,ドイツにおけるエーリッヒらのグループである.その一連の研究からやがて梅毒に対し著しい効果を示す砒素系化合物サルバルサンが発見された(秦佐八郎;1909年).しかしながら梅毒に対する社会的偏見や感染症に対する血清療法への傾斜などから,サルバルサンはやがて脚光を浴びることなく,しだいに忘れ去られていった.
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