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文献詳細

雑誌文献

臨床検査42巻13号

1998年12月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編

性決定因子の検査化

著者: 山岡和子1 神辺眞之1

所属機関: 1広島大学医学部臨床検査医学講座

ページ範囲:P.1668 - P.1674

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はじめに
 性決定が必要な場合は,犯罪に関係した血痕や毛髪を材料として行うものや,伴性遺伝病の生前診断および不妊,さらに性分化異常が主である.また,一時的に多数の検体の性決定を行う必要に迫られるのは,国際スポーツ大会における性別確認検査(Gender-Veri-fication,以下GVと略す)である.Y染色体上に存在するSex Determining Region of Y-chromosome(以下SRYと略す)が1991年1)に睾丸決定遺伝子として同定され,性決定の機構が解明されたかに思われたが,まだ,十分に解明されてはいない.
 最近,性腺の形成分化に関与する遺伝子が単離されており,男女の性分化を決定する機序が明確になりつつある.しかし,現在,性の判定を臨床的にとらえる方法としては,SRYの有無による判定が有力な方法であり,スポーツ大会におけるGVや,性分化異常症および生前検査の診断に必要な検査である.また,Y染色体長腕部に無精子症に関連する領域2,3)(azoo-spermic factor,以下AZFと略す)が存在することが知られており,Y染色体の長腕の一部がmicrodele-tion (欠失)している無精子症患者の解析2~8)が行われているが,いまだAZFの部位は確定していない.筆者らも,特発性男性不妊症の患者の一部にAZFの領域にmicrodeletionを認めた9,10)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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