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今月の表紙 血液・リンパ疾患の細胞形態シリーズ・2
急性骨髄性白血病(AML-M1)
著者: 栗山一孝1 朝長万左男2
所属機関: 1長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設分子治療研究分野 2長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設
ページ範囲:P.132 - P.133
文献購入ページに移動Mlは芽球が多い最も典型的なAMLであり,診断も比較的容易と思われがちだが,診断一致率は意外と低い.Japan Adult Leukemia Study Group (JALSG)の一致率(各施設と診断センター)は約50%でしかない.この原因は,第1に芽球判定の問題である.M2をM1と診断することが最も多くみられ,両者の鑑別は芽球比率(90%)によってほぼ機械的に行われるが,脱顆粒した前骨髄球や骨髄球などを芽球としてカウントしている可能性が高い.核クロマチン構造と同時に,原形質では明るいゴルジ野の有無などの観察が大事である.さらに,前骨髄球や骨髄球はMPO染色では原形質全体が強く染色されることが多いし,エステラーゼクロロアセテート染色では芽球が染色されることは少なく,前骨髄球やより成熟した好中球は原形質全体に強く染色されるので芽球との鑑別に有用である.次にM4をM1と診断していることが多い.M4の一部に成熟した単球成分が少なく,比較的多い前単球を芽球と判定していると思われる.このようなM4例の中には,非特異的エステラーゼが染色されないことがあり,より診断を難しくする.この場合には,メイ―グリュンワルト―ギムザ(May-Grünwald Giemsa;MG)染色で単球系細胞の特徴をよく観察することが大事だが,MPO染色も助けとなる.前単球はMPO陰性もしくは弱陽性である.単芽球が混在していると,エステラーゼ陰性なら骨髄芽球との鑑別がつかないことも少なくない.血清および尿中リゾチーム値測定も参考となる.
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