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文献詳細

雑誌文献

臨床検査42巻2号

1998年02月発行

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トピックス

輸入野菜と寄生虫疾患

著者: 嶋田雅曉1

所属機関: 1長崎大学熱帯医学研究所

ページ範囲:P.216 - P.218

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1.はじめに
 寄生虫の中間宿主としての魚や甲殻類,肉などの生食が直接的に寄生虫感染の原因になるのに対し,輸入野菜や果実は,寄生蠕虫の虫卵や幼虫,寄生原虫の嚢子などの感染段階にある寄生虫(表1)を運ぶ"運搬屋"としての役割を負う.
 そこで結論から先に言えば,現在のところ輸入野菜が寄生虫を国内に運び込み寄生虫感染症を"増加"させたことを示す具体的なデータはほとんど見あたらない.しかし最近米国では,輸入果実によると考えられる寄生虫病の集団発生の報告があり,日本でも過去にさかのぼれば,やはり輸入野菜が原因と疑われる症例の報告がある.当分,日本への野菜・果実の輸入は増加することはあっても減少することはないので,寄生虫感染の動向は今後注意深く見守っていく必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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