文献詳細
文献概要
今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・3
急性骨髄性白血病(AML-M2)
著者: 栗山一孝1 朝長万左男2
所属機関: 1長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子医療部門分子治療研究分野 2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設
ページ範囲:P.256 - P.257
文献購入ページに移動典型的なM2は30~40%を占める染色体異常t (8;21)(22q;22q)を伴ったタイプであろう.このタイプは形態学的特徴を有しているために形態学的所見から染色体異常を約90%の確率で予測することができる.図1の症例では左方のAuer小体を有した芽球に接して小型で核の異形性が強い芽球を認める.右の大型の細胞は原形質にアズール顆粒が少し出現しているので芽球と言うより前骨髄球であろう.このように小型で複雑な核の切れ込みを持つ芽球とAuer小体を認めるのはこのタイプの特徴の1つである.また図2の症例では上部3個の細胞中左方は前骨髄球,右方の2個は骨髄球と思われ,いずれも脱顆粒は強いが原形質は完全に白色に抜けておらず淡いピンクを伴った灰色に染色されている.さらに図3の症例では左方のAuer小体を有する原形質の広い芽球とそれに接して2個の好酸球が続いている.これらもt (8;21)を有するタイプの特徴である.また芽球のmyeloperoxidase (MPO)陽性率は高く,好中球alkaline phosphatase (MAP)のスコアは低い.
掲載誌情報