文献詳細
文献概要
今月の主題 生物・化学発光の新しい展開 話題
リコンビナントで製造されるルシフェラーゼ
著者: 梶山直樹1 中野衛一1
所属機関: 1キッコーマン株式会社研究本部
ページ範囲:P.313 - P.315
文献購入ページに移動1.はじめに
生物発光反応を用いた分析法は,短時間かつ超高感度な微量成分の検出法として,近年盛んに研究されている.特に,ホタル由来ルシフェラーゼの発光反応は,アデノシン5′-三リン酸(ATP)を必要とするため(図1),微量ATPの測定や微生物の検出,あるいはATPの生成・消費をもたらす共役酵素の活性や,その基質の鋭敏な検出系として,幅広い用途が考えられている.このように多くの需要が見込まれるルシフェラーゼであるが,市販のものは北米産ホタルから抽出されたものに限られており,その安定供給には限界があると考えられていた.また,北米産のルシフェラーゼは熱に対して不安定であるとの報告もあり,より安定な酵素の供給も期待されていた.
これらの問題を解決するため,筆者らは,80年代後半からホタルルシフェラーゼに関する研究を開始した.これまでにルシフェラーゼ遺伝子のクローニング,大腸菌での発現1),酵素の機能変換などに成功しており,現在は本酵素を用いたさまざまなキットの開発に注力している.本稿では,ここ数年の成果の中から,ルシフェラーゼの発光色変化と熱安定性の向上に関して紹介する.
生物発光反応を用いた分析法は,短時間かつ超高感度な微量成分の検出法として,近年盛んに研究されている.特に,ホタル由来ルシフェラーゼの発光反応は,アデノシン5′-三リン酸(ATP)を必要とするため(図1),微量ATPの測定や微生物の検出,あるいはATPの生成・消費をもたらす共役酵素の活性や,その基質の鋭敏な検出系として,幅広い用途が考えられている.このように多くの需要が見込まれるルシフェラーゼであるが,市販のものは北米産ホタルから抽出されたものに限られており,その安定供給には限界があると考えられていた.また,北米産のルシフェラーゼは熱に対して不安定であるとの報告もあり,より安定な酵素の供給も期待されていた.
これらの問題を解決するため,筆者らは,80年代後半からホタルルシフェラーゼに関する研究を開始した.これまでにルシフェラーゼ遺伝子のクローニング,大腸菌での発現1),酵素の機能変換などに成功しており,現在は本酵素を用いたさまざまなキットの開発に注力している.本稿では,ここ数年の成果の中から,ルシフェラーゼの発光色変化と熱安定性の向上に関して紹介する.
掲載誌情報