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ESIMSによる糖化Hbの定量分析
著者: 中西豊文1 宮崎彩子1 岸川匡彦1 清水章1
所属機関: 1大阪医科大学病態検査学
ページ範囲:P.340 - P.343
文献購入ページに移動糖化ヘモグロビン(GHb)測定は,糖尿病患者の血糖管理,将来の合併症の発現・進展を防止するための中~長期血糖管理マーカーとして信頼性の高い検査である.GHb測定には電気泳動法,カラムクロマト法,アフィニティ法,高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法,免疫法などがある.わが国においては,大半の施設でHPLC法が用いられているが,近年β鎖N末端から数個のアミノ酸を含む糖化ペプチドを認識する特異抗体を用いた免疫法がキット化され,多量検体処理可能な自動化にも成功した.しかし,上記方法を用いてGHbを測定する際,不安定Hb (labile-Hb),修飾(アセチル化,カルバミル化など) Hbおよび異常Hbの共存による正・負誤差や測定法間のデータ乖離例などが報告されており,関連学会が中心となり標準的GHb測定法の確立と標準物質の作製などが試みられている.
われわれのグループは,これまでにエレクトロスプレ―イオン化質量分析(ESIMS)法を用い,異常Hbや変異トランスサイレチン,変異銅/亜鉛結合スーパーオキシド・ジスムターゼなど疾患関連異常蛋白質を検出し,病気の診断に寄与してきた.本法は,正常蛋白質と分子量が近接した異常蛋白質を完全分子のまま検出・定量可能という利点を有しており,GHb定量には,従来法のような標準物質を必要とせず,しかも高精度な分析法である.
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